パクチーオイルの紫外線誘発日焼け炎症に対する軽減効果
パクチーは英語表記で“コリアンダー”といい、世界各国で食材としてだけではなく、民間療法や天然香料や抗菌などで使用されています。
紫外線(UV-B)によって生じる皮膚炎症の一つである広範囲の紅斑(日焼け)に対するコリアンダー油(パクチーオイル)の抗炎症効果をヒト試験で明らかとした論文がドイツの研究者によって発表されています。
試験では、40人のボランティアの背中に0.5%と1.0%のパクチーオイルを塗る試験を実施しました。そして、紫外線(UV-B)を背中に照射して紅斑の程度をステロイド薬と比較しました。その結果、パクチーオイルは用量に従った抗炎症効果が示され、炎症性皮膚疾患の併用治療に役立つ可能性があることが示されました。
パクチーはUV対策にも効果があるという、新たな発見です。
【出典】
Anti‐inflammatory potential of a lipolotion containing coriander oil in the ultraviolet erythema test
First published: 29 September 2008
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/j.1610-0387.2008.06704.x
パクチーに加齢性認知障害抑制効果
脳の老化は、記憶障害など様々な行動変化を引き起こすことが知られている。そこでこの実験では、SAMP8マウス(老化促進マウス)の記憶障害に対するパクチーの効果について検討を行っています。実験には、10週齢の雄性SAMP8マウスを用い12週間パクチーのseed抽出物の投与を行った。投与12週間後、バーンズ迷路試験を行いパクチーseed抽出物の効果について検討を行った。その結果、バーンズ迷路プローブ試験の平均逃避時間においてICRマウスと比較してSAMP8マウスの逃避時間に延長がみられたが、パクチーseed抽出物の投与により有意に抑制された。また、RT-PCR法ではNF-Lの発現レベルはパクチー投与により有意に増加し、nNOSの発現レベルは減少した。以上の結果よりパクチーseed抽出物は抗酸化作用により、NOSの上昇を抑制し、神経伸長を促進することにより記憶障害を改善したことが考えられた。
【出典】
Effects of Coriandrum sativum Seed Extract on Aging-Induced Memory Impairment in Samp8 Mice
Yurina Mima, Nobuo Izumo, Jiun-Rong Chen , Suh-Ching Yang,, Megumi Furukawa and Yasuo Watanabe
パクチーによるヒ素など重金属毒性軽減
パクチーを摂取させたマウスの腎臓における鉄、ヒ素、カドミウムの濃度低下が活性酸素種の産生を著しく低下させることを明らかにしました。
試験ではコリアンダー(パクチー)の加熱葉抽出物が組織内の重金属の濃度を低下させるかどうかを調べました。コリアンダーの加熱葉抽出物0.25%を含む飲料水を8週間与えたマウスと、その対照を比較した結果、コリアンダー葉エキスの摂取が、重金属の濃度を低下させ、腎臓の酸化ストレス軽減に対して強力に貢献していることを示されました。
【出典】
Intake of Heated Leaf Extract of Coriandrum sativum Contributes to Resistance to Oxidative Stress via Decreases in Heavy Metal Concentrations in the Kidney
Azusa Takeuchi &Atsushi Takeda
Published: 19 February 2019
https://link.springer.com/article/10.1007/s11130-019-00720-2